一般に事業承継というと、従業員や親族などから後継者を定めて承継するものと、事業分割や合併、買収など他社が関与して行うものがあります。

宿泊施設の場合「旅館業法」に基づく許可を得ていないと営業できません。そのため宿泊施設の事業承継では営業許可を維持、又は新たに取得する必要があります。

そのため事業承継や分割合併などの知識だけではなく、営業許可についても考えて進めなければいけません。

従業員や親族など、後継者に承継する場合

従業員や親族から後継者を選び承継する場合、法人として営業許可を得ていれば、手続きもあまり難しくはありません。

しかし歴史ある施設の場合、個人で営業許可を取得されている場合もあります。

個人で許可を得ている場合、相続であれば営業許可も承継できます。

個人から法人へ承継する場合や、法人成りをして承継を考える場合、新規で営業許可申請をする必要があります。

事業分割、合併、買収の場合

法人間で分割合併や買収を行う場合、承継できる場合と新たに許可を申請する場合があります。

承継ができる場合でも、事前に管轄する都道府県(政令指定都市であれば市)の担当部門と協議が必要です。

もし承継できない場合は新たに許可申請をすることになります。

新たに許可申請するときの注意点

旅館業許可は「旅館業法」に加え、管轄する地域の「条例」も守らなければいけません。

特に「条例」は、ときどき改正され、それまでとは違う要件を満たさなければいけない場合があります。

「既に許可を取っている物件」といっても、再度許可申請をする必要がある場合は新たな条例に沿った施設や運用を求められます。

許可を取ってから長期間経っている施設の場合、現行の条例に合っていない場合もあります。また旅館業法や関連条例以外にも、「建築基準法」や「消防法」なども関わってくるため、新たな許可申請をする場合に予想していなかった設備投資が必要になるケースもあります。

「許可を取得した物件」といっても、許可の取得時期によっては新たな設備投資が必要となり、予定していたより多額の費用がかかることもありますので十分ご注意ください。